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ー記者マツモト、槍を投げる! ~10本インタビュー 第5章~

ヤリナゲインタビュー

(劇)ヤリナゲ インタビュー

ー記者マツモト、槍を投げる! ~10本インタビュー 第5章~

10本インタビュー第5章は、菊池美里氏(俳優・ECHOES所属)です。

菊池美里氏(俳優・ECHOES所属)プロフィール

埼玉県出身 1977年生まれ

経歴

【TV】

アウトデラックス(フジテレビ 2015年 1/22放送)

日本テレビ 「ゆとりですがなにか」島本先生役 レギュラー

【舞台】

2016

aibook「ミルフィーユ」

2015

肯定座「MAN IN WOMAN」

ちょくちょく企画「CAKE FOR BREAKFAST」

ドリームダン「ダイヤモンド」

辻川ストロベリー「女と幸せ」

(劇)ヤリナゲ「スーサイド・イズ・ペインレス」

肯定座「オールライト☆なう」

2014

aibook「気がつけば、あした。」

ドリームダン「優しくして」

セロリの会「ツナガル」

エビス駅前バープロデュース 「ふりむかないで」

暴走乙女ライン「遙かなるカトマンズ」

劇団リケチカ「ただえり」

他、舞台出演多数

―菊池さんの自己紹介と、ヤリナゲと出会ったきっかけを教えてください。

菊池 菊池美里です。よろしくお願いします。ECHOESという事務所に所属しております。

ヤリナゲの第5回公演『スーサイド・イズ・ペインレス』(2015年3月25日-29日 於 王子小劇場)に出演しました。越君と出会ったのは時間堂の持ち小屋だった十色庵でした。

世莉さん(黒澤世莉氏・演出家)のワークショップに越君が参加していて、私は参加していなかったんですけど終わりごろに十色庵に行って。そのワークショップの後に飲み会があって、そこで世莉さんが「出会っときなよ」と言って紹介してくれました。世莉さんの差し金というか(笑)。

菊池 それでなんとなくお互い近々やる公演のチラシを渡しあって、観に行き合ったりして。それから間もなくヤリナゲに出演しませんかと誘って貰ったので、二つ返事で引き受けました。

年齢も年齢なもので40~50代の人とお芝居をすることが多くて、20代前半の人とお芝居をするということがとても新鮮で。稽古中もいろんな意味での刺激を貰いましたね。

ーなるほど!

鎧をかぶっている

菊池 越君って初対面でどんな印象でしたか?

ーなんていうんでしょう、「お、ちょっと変わってるのかな?」みたいな感じでしょうか。

菊池 そうですよね。私も「何だこの子は」「不思議な子なのかな」と思ったけど、そういう鎧をかぶって身を守っているんだな、こいつは、と思いました。

ーおお!

菊池 油断させようとしてああいうことをやっているんじゃないかなって睨んでいます(笑)。彼はとても頭がいいじゃないですか。だからそういうのを悟られないように、アホのふりをしてるんだなって途中で思いました。

ーなるほど(笑)。

菊池 お芝居自体は普段あまりやらない感じのお芝居だったので、稽古中の演出はいろいろ戸惑ったりしたこともありました。

とはいえいい経験というとあれだけど、いい経験でした。「こういうやり方もあるんだな」って。

みんな大人っぽい

―出演された『スーサイド』で覚えていることや、印象的だったことなどありますか?

菊池 中村あさきちゃん((劇)ヤリナゲ 元・劇団員)、かわいいよねえ(笑)。雰囲気があって、すごいかわいいよねえ。

『スーサイド』の時は出演はしていなかったんですけど、衣裳で付いてくれていて。たまに稽古場で会えたんだけど、若いのにすごいしっかりしたかわいい子だな、と思ってすごい見ていました(笑)。

もうひとりの劇団員の川村良太さんもたまに稽古場に顔を出していて、「年の割に落ち着いた子だなあ」と思いました。みんな大人っぽいな、と思って。

演出助手をしていた國吉(國吉咲貴(くによし組))には同じものを感じました。今年の10月にも國吉が主宰するくによし組に出演するんですけど(※)、姉妹役とかやりたいです。私とタイプが似てるんじゃないかな、と。

(※くによし組10月公演「ベチャロンドン」作・演出 國吉咲貴 2017年10月18日(水)~22日(日) 会場 SPACE 梟門)

ーたしかに、似てるかもしれませんね!

蜘蛛の子を散らすように帰っていく

菊池 國吉は越くんがいないところでたまにちらっと演出してくれたりしたんですけど、「菊ちゃんはこうしたらおもしろいと思う」って言ってくれたりして、「國吉、私の事わかってんじゃん!」という関係性です(笑)。

あとあれだな、普段一緒に演劇をやってる人がすごい酒飲みばっかりで、稽古しに来てるのか飲みに来てるのか分からないくらいみんなすごいお酒を飲むんですよ。

でも今の20代くらいの子ってやっぱりあんまり飲まないですよね。稽古終わると「お疲れ様でしたっ!」っていう感じで蜘蛛の子を散らすように帰っていくので、ちょっと寂しかったです。飲むためにやってんじゃないんだから、いいんですけどね(笑)。家に帰って飲めって話だけど(笑)。

いろんなものを見ることが大切

ーヤリナゲで一緒になった人で、中村あさきさん、國吉さんの他に印象深かった方はいらっしゃいますか?

菊池 マツバラ元洋君もよく覚えてますね。マツバラ君は基本はお笑いの人なんだけどすごい勉強家でいろんなものを取り入れようとしている人で。演劇もいろんなものを観に行くし、そういう勉強する姿勢を見習わなきゃな、すごいなと思いましたね。

マツバラ君はストリップとかも観に行くんだよね。なんのために観に行くのかわかんないけど、いろんなものを観に行くな、と。

…いいことを言ったね。いま。

―ええっ。

菊池 いろんなものを見ること、勉強することが大切です。

ーはい!

あさきちゃんがかわいい

ーこれまでに観客としてご覧になったヤリナゲの作品の印象や感想はいかがですか?

菊池 番外公演『フランドン農学校の豚』(2014年10月25日-26日 於 十色庵)とかは観ていますね。その時は「あさきちゃんエロいな、かわいいな」という目で見ていましたね(笑)。舞台美術で服がすごい沢山あっておしゃれだな、と思いました。

その後『スーサイド』に自分が出演した後に、第7回公演『緑茶すずしい太郎の冒険』(再演)(2016年3月24日-28日 於 王子小劇場)も観に行きました。これもおもしろかったですね。一緒に連れて行った同年代の子は観た後「うーん」ってなっていたけど、私は結構好みだったです。

大体これまでのどの作品でも 基本的には「あさきちゃんエロいな、かわいいな」と思って見ていたと思います。

ーなるほど(笑)。

菊池 あさきちゃんはもう演劇もやらないんですかね?

ーまさにそうしたお話も伺っておりますので、ぜひこちらのインタビューをご覧ください!

菊池 またどこかで会えるかな。素敵な人ですよね。いや、そんなことばっかり言ってちゃだめですね、もっと演劇的なちゃんとしたことを喋らないと…。

てんやで会議

―そうしましたら、稽古場での越君の様子などを伺えますでしょうか。

菊池 『スーサイド』の時は結構演出で苦しんでいて。自分の作りたい世界に思うようにいかない、みたいな悩みを抱えていたみたいです。

「演劇を作っていてこういうことは初めてだ!」くらいのことで、今まではもっと思うがままにやっていたのに、と。じゃあその原因を探ろうよ、という感じで西荻窪のてんやで4人くらいで会議をしたのを覚えています。

ーてんやですか!

菊池 てんやでそんな会議していいのかっていう(笑)。越君とさっき話に出てきたマツバラ君もいた気がします。それで「なんでだろう」「どうしたらいいんだろう」って話し合ってましたね。

私自身も「わたしがいるからみんな悩んでるのかなあ」って悩み、みんないろいろ悩んでいました。

…これもちょっと演劇っぽい話が出来ましたね(笑)。

―はい、ありがとうございます!『スーサイド』の時は、キャストの皆さんも初めての顔合わせだったんですか?

菊池 どうでしょう、結構越君とは2回目です、という人も多かったような気がしますね。初めての現場って緊張するじゃないですか。でもみんな仲良くしてくれて嬉しかったです。「みんなありがとう」って、書いておいてください(笑)。

…もっと演劇っぽい話をしないといけませんね。

ーなんのなんの!

越君は声が大きい

菊池 それにしてもこまばアゴラ劇場でやるってすごいですよね。やっぱりヤリナゲって今ぐいぐい来てるんですかね?

ーということなのかな、と…!

菊池 もう一回くらい、出してくれないかなあ…(笑)。

あと稽古場で役者の芝居を見ながら役者に対して思ったことを、演出助手の國吉さんにメモらせるんですよね。いわゆる「だめ出し」「だめ取り」というか。その時に越君が國吉にだめを言う声がたまに大きくてすごい集中が削がれていたから、あれはちょっと気をつけた方が良いかもしれないです(笑)。「聞こえてる、聞こえてる!」って。

「だめを書き取らせるときの声が大きいので気をつけるべし。」とお伝えください(笑)。

自分の人生と重ねながら

―ちなみに出演された『スーサイド』はどんなお話だったんですか?

菊池 男と女の大学生の話でした。大学生の男の人がいて、その子と付き合うことになった女の人を、場面が変わるごとに6人で演じる、という趣向でした。

それでその主人公はいずれ演劇をやることになるんだけど、「演劇をこのままやっていいのか」と葛藤するという話でした。就職もしなければならないけど、演劇もやっていきたい、このままでいいのか?という感じでしたね。

出演者のみんなは若かったけれど、私は当時38か39で。稽古場で「演劇を続けることをどう思いますか?」って越君から聞かれて「この年まで続けているし、どうもこうもないな」と思ったのを覚えてますね。そうやって自分の人生とも重ねつつ、いろんな思いでやっていました。「続けるって何なんだろう」と思ったり。

『スーサイド・イズ・ペインレス』より 左からマツバラ元洋さん、菊池さん

―座組の中では菊池さんが最年長だったんですか?

菊池 そうですね、最年長、ずば抜けて一番年上でしたね。年上だし、なんというかこう「演劇を続けていくとこうなれるよ」という姿を見せようと思ったんだけど、無理だった(笑)。だから普通にやっていました。むしろみんなの方が大人だった(笑)。

いつも一緒にやっている人だけではなく、たまには慣れない場所に飛び込むのもいいのかな、って思いました。

…これもまたちょっと演劇っぽい話が出来ましたねぇ。

ーありがとうございます!!

下北沢ではダイソー、百均へ行きがちになってしまう

―そしてそうした出会いの背後に黒澤世莉さんの影があるというのもおもしろいですね。

菊池 あの人の影はどうも濃いですよね(笑)。世莉さんは人を出会わせるのがうまいですよね。開かれたスペースを持った人というか。

この間下北沢でお芝居をすることがあって、今世莉さんが働いている観劇三昧(※)へ行ったんですけど、落ち着いたいいところですよね。大きなモニターで舞台の映像を見ながらゆっくりできるようなスペースがあったり。

下北沢だとマックもがやがやしていてゆっくりできないし、大体ダイソーとか百均へ行っちゃうんですけど、観劇三昧のあの場所はとてもいいなと思いました。

渋谷のTSUTAYAにも舞台のDVDが並ぶようになったしねえ。

…ヤリナゲの話をもう少しした方がいいですよね、どう考えても(笑)。

(※観劇三昧 下北沢店 〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-9-2 ZIP155ビル 2F http://kan-geki.com/lp/nippombashi.html

「演劇的に見えたくない」

―そうしましたらヤリナゲ作品の特徴というか、印象について伺えますでしょうか。

菊池 「演劇的に見えたくない」みたいなところがありますよね。たとえば会議のシーンがあったとして、普通お客さんに顔が見えるように客席に向かって開いて座るじゃないですか、演劇だったら。椅子の向きとかも見えやすいようにしたりするけど、そういうのがいやだっていう話を越君がしていて。

だから背中を向けていてもいいし、なんなら声も聞こえなくてもいいということを稽古場で言っていて。それは戸惑いました(笑)。

「見えなきゃだめだし、聞こえなきゃだめじゃん」って思いながら。それも誰かの影響があるのかな。

ハイバイのことは好きらしいけど、そういうことでもないのかもしれない。それはすごい稽古場で「えええ」って思っていました。周りにそういうことを言う人はいないから、おおお、と。まあでもおもしろかったです。普段できないことが出来たので。

ーなるほど!

菊池 あと、チラシデザインが最近すごいオシャレだよね。巻かれた人、みたいな。

…売れてほしいですね、ヤリナゲ。

それで売れたころにもう一回出してください、と伝えておいてください(笑)。

―ちなみに「売れたらもう一回出演させてほしい」「ダメ出しの声が大きい」ということの他に、何か越くんへのメッセージはありますか?

菊池 とりあえずそのまま突っ走ってもらいたいです。「早く売れて」って。

どうしようもないこと言ってるね(笑)。

―ありがとうございます!ここでおもむろに、『預言者Q太郎』がどんな話になるのか預言して頂けますでしょうか。

菊池 Q太郎くんは生まれた時から預言者だから、いろいろ危機回避能力に優れているんです。たぶん交通事故に遭ったこともないし、犬に噛まれたこともない。自分の未来を予言するから、危ないことは全部避けて生きてきた。ね。

でもそれでずっと生きてきたんだけど「こんな無難な人生でいいのか」と思って、逆に自分からトラブルにぶつかっていくように生き方を変えた、と。その結末がどうなるか、というお話ですね。

…どう?どう?

ーおもしろそうです!

菊池 『預言者Q太郎の一生』だから最後死ぬね、30歳くらいで。トラブルに立ち向かったが故で。その生き方を見て周りの人がどう思うかという、そういう作品です。

―犬にも噛まれに行くわけですね。

菊池 そうそうそう。もう自ら犬に噛まれるとか、自ら階段から落ちるとかいう風になっていく。「駄目だ、回避していても何にもならない!未来は自分から切り開くもんだ!」みたいな感じになります。これがわたしの預言です。当るかな?

迷ってるなら、一回観た方がいい!

―ありがとうございます!ヤリナゲをまだ観たことがない人や知らない人に一言でおすすめするとすれば、どのようにご紹介されますか?

菊池 迷ってるなら、一回観た方がいいですよね。人に噂は聞くけどどうなんだろう、とちょっと気になるんだったら、一回観に行っちゃえ!と。

人気になるとすぐチケット代も上がっちゃうから、チケット代が高くならないうちに観に行っちゃえ!ほんとに人気になる前に一回観に行っちゃえ!と思います。

(『預言者Q太郎の一生』では一般前売り3000円のほかに、7/14(金)19:30の回プレビュー公演 2,000円、お連れ様割   2,500円(要予約・ヤリナゲの作品を観たことがある方 とない方の組み合わせでご来場のばあい、一人当たり)など、お得なチケットを各種ご用意しています!)

ーありがとうございました!

(2017/6/7 聞き手:松本一歩)

菊池美里さん情報

aibook 第2弾

「疾走」

作・演出︰笹峯愛

2017年8月23日(水)~29日(火)

@下北沢 駅前劇場

http://aibook.trickplan.com/web/

くによし組10月公演

「ベチャロンドン」

作・演出 國吉咲貴

【あらすじ】

ある日、ベチャロンドンという巨大生物の出現により、トコロ村の住民は避難所生活を送ることになりました。

隣のザワ村の住民は、悠々自適な避難所生活の噂を聞き、ベチャロンドンを探し始めました。

「私も不幸になりたい!」

誰よりも可哀想になりたい人たちの可笑しくて可哀想な物語。

【日時】 

2017年10月18日(水)~22日(日)

会場 SPACE 梟門

詳細htps://kuniyoshigumi.jimdo.com/%E6%AC%A1%E5%9B%9E%E5%85%AC%E6%BC%94/

(劇)ヤリナゲ第10回公演

『預言者Q太郎の一生』

2017年7月14日(金)〜23日(日)

こまばアゴラ劇場

詳細はこちらから。


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