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マツやんの 10倍ワーニャ伯父さん#2

(~前回のあらすじ

 『翳りの森』をより楽しむために、原作のチェーホフ『ワーニャ伯父さん』を読んでみようということだった~) 

いやしかし大変ですよ。

 なにがって、戯曲を読むなんてことがね。そんなこと、「したことないワ」っていう方が大半でしょう。

 そもそも「戯曲」って言葉がよくわからない。

 「台本」じゃないの? 「脚本」とかは? 戯? ふざけてるのか? 巫山戯てるのか。

 そもそも台本なんて、プロの人が読むもんで、その人たちがうまいことドラマとか映画とかお芝居に仕立ててくれて、それをシネマイクポップコーン片手に? うっかり携帯のバイブを鳴らしながら、そういうとき相手の諦めが悪くて1分も鳴らしっぱなしで、新世代のポーカーフェイスかましながら観ていればいいわけじゃないですか。丸焦げだったよお婆ちゃん、って後で聞いても、フェイスは崩さず。

 だからもっと簡単に、映画とかでチャッと済ます、あるいは、決定版! みたいな名上演のDVDとか、見れたりしないものですか。と考える。

 でもね奥さん、

 もともと『ワーニャ伯父さん』は、戯曲が先に発表(出版)されたそうです。

 それが1897年。そして翌々年、1899年になって「モスクワ芸術座」という、のちにチェーホフ劇といえばここ、となる劇団での上演がされたと、ものの年譜には書かれてあります。

 だから上演より先に、まず戯曲がオリジナルなんですよ……ええ……そうなんです……チェーホフ本人も、まず読ませるものとして人目に出したといえるわけですね。

 「うーんそうは言っても簡単に『ワーニャ伯父さん』のエッセンスだけでも見られるものはないものかしら。」

 じゃあ『翳りの森』を見ましょう。

 違うんだ。その前に、っていうブログなんだ……。

(ワーニャ伯父さんの映画版情報は、最後に。)

   *       *       *

 さて、はじまりの前回では

「ワーニャ伯父さん ――田園生活の情景 四幕――」

 というところまで読みました。

 今回は2回目。少年ジャンプなら2倍目。どのようなドラマが巻き起こるのでしょうか。

 ページをめくりましょう!!

(※今回の引用はすべて青空文庫『ワーニャ伯父さん』(神西清:訳)

http://www.aozora.gr.jp/cards/001155/files/51862_41345.html から)

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 人物

   セレブリャコーフ(アレクサンドル・ヴラジーミロヴィチ) 退職の大学教授    エレーナ(アンドレーヴナ) その妻、二十七歳    ソーニャ(ソフィヤ・アレクサンドロヴナ) 先妻の娘    ヴォイニーツカヤ夫人(マリヤ・ワシーリエヴナ) 三等官の未亡人、先妻の母    ワーニャ伯父さん(イワン・ペトローヴィチ・ヴォイニーツキイ) その息子    アーストロフ(ミハイル・リヴォーヴィチ) 医師    テレーギン(イリヤ・イリイーチ) 落ちぶれた地主    マリーナ 年寄りの乳母    下男    セレブリャコーフの田舎屋敷での出来事

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 もうだめだ。 

 ぜんぜん読めない。これはもう、読めない。読めっこないです。

 だいたいこんなに、ひとの名前憶えられるわけがないです。私もう歳ですから、AKBとか?DDTとか? の子もみんな同じに見えて憶えられない。そのわりに昔の戦隊ヒーローとか「カクレンジャーのニンジャブラックがケイン・コスギで、変身前の名前はジライヤ」とか憶えてるし。

 「人物」と先に書いてあるから、ここは登場人物を羅列してるんだろうということまではわかる。ではカッコの中はなんだ。

 セレブリャコーフ(アレクサンドル・ヴラジーミロヴィチ)

 CVですか?

CV:イタコ

 でもわたし、一個知ってますよ。「ヴラジーミロヴィチ」の意味、知ってます。このヴィチは、アバズレ女、という意味じゃない。

 ロシアの人って、「~の子」ってふうに、父親の名前を、名字と名前の間にはさむんです。

 だから、「ヴラジーミ ロ ヴィチ」は、「ヴラジーミ ル の子」って意味なんです。

 そして、「セレブリャコーフ」と「アレクサンドル」のどっちかどっちが姓で名なんでしょう。

 なるほど。

 それがわかったところでだ。

 ほかにも、

 エレーナ(アンドレーヴナ) その妻、二十七歳

 なぜこの人だけ年齢が記載されているのか。とか、いちいち足を止める要素がふんだんにある。

 どうしたらよいのか。

 しかしここで、一つの画像をご覧ください。

 これは2009年に出た『ワーニャ伯父さん』の新訳です。浦雅春・訳、光文社古典新訳文庫。

 同じ人物リストが、しおりに書いてある。読みながら、いつでもその場で参照できる。

 便利だ。

 便利の権化。

 そこから逆に言えば、この人物リストというのは、真っ先に読むべきものではない、のではないか。

(ついでに「主要登場人物」ということで「下男」だけが載せられてない哀れ)

 しかしページをただ越えるというのも考えもの。せめて、親戚・姻戚関係は整理してみましょう。

 セレブリャ めんどくさいんで頭二文字だけで呼ぶことにしましょう。

セレエレ は夫婦。

ソー は、 セレ先妻 の間の娘。エレ は継母である。

ヴォ は、 ソー の祖母で、先妻 の母。セレ の(元?)義理の母。三等官 は死んだ夫。

ワー は、 ヴォ の息子で、先妻 の兄。ソー の伯父。

 よけいわかんなくなっ……。

 でもわたし、一個見つけましたよ。さいごのとこで一つ、はっきりしました。

 タイトルとの関連です。

 「ワーニャ伯父さん」とは、誰の伯父さんか?

ソーニャの伯父さんだ!

 ここまでわかれば、今回はもういいでしょう……。

 ちなみに先行して言ってしまえば、

『翳りの森』は上の9人から、

「エレーナ」「ソーニャ」「ワーニャ」「アーストロフ」

を取り出してきた4人芝居になっています。

「ええっ、5人も減らしちゃうんですか?」

「せめてシモオだけでも残してください!」 

 4人だけを抽出すると、ドラマはどうなるのでしょうか??

 ではまた、3倍目で。

~~~~映画情報~~~~ 

 『ワーニャ伯父さん』の映画は、ググったところ1本あります。 

 1971年、アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー監督作品。

 ワーニャ伯父さん役は、インノケンティ・スモクトゥノフスキー。医師アーストロフ役はセルゲイ・ボンダルチュク。ソーニャ役に、イリーナ・クプチェンコ。エレーナ役はイリーナ・ミロシニチェンコ。

 名前がうんざりするように書きました。

 DVDは、少なくとも日本版は出ていないようです。

 Youtubeにはありますが。字幕なし! 


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