『緑茶すずしい太郎の冒険』週直日誌#3 インタビュー男子会 後編
こんにちは。『緑茶すずしい太郎の冒険』週直の中村です。緑茶すずしい太郎が冒険に出るまで、あと2週間となりました。
今回は、男性キャストによる「男子会」の続きです。『緑茶すずしい太郎の冒険』の脚本や、今回の劇のキーワードとなる”母と子”のエピソードをお伺いしました。
(左から、浅見、四柳、津枝、岡本)
ーー『緑茶すずしい太郎の冒険(以下、緑茶)』は、再演(初演は2014年3月の荻窪小劇場)ということもあり、最初から台本がほとんど全部書かれた状態で始まりましたが、今回の物語、というより最初に読んだ台本について、感想をお聞かせください。
津枝新平(以下、津枝):再演って聞いてたから、ハードルが上がってたのもあるんですけれど、読み合わせのときに、前半部分がそんなに盛り上がらなかったような気がして、でも後半くらいから面白くなって、って感じでした。割とそこまでぱーっって終わったなぁ、と。あくまで第一印象なんですけれど。これから、かけあいをしてみて、どうなるのかなーって。台本でどうのこうのより、稽古をやっている感じからいうと、中にあるもので、人と人が関わったときに、変なことになるのがおもしろい作品なのかなーという感じでした。
浅見臣樹(以下、浅見):まず、最初に思ったのは、自分が前に出た『206』とは全然ちがうなー、って。 どっちかっていうと、『206』の前の『スーサイド・イズ・ペインレス』に近いんだろうな、って感じでした。それは、やり方、話の作り方の点というか、一人が何役もやることの面白さ、良さを選んでいるところとか。『206』は、逆にお話によった感じだったんだなぁ、と。『緑茶』の方は、主人公がどうなっていくのだろうか、っていう、主役をとことん追い詰める話として書かれている、という印象です。お話を見るか、人間を見るか、っていう違いがある。そういう部分では、今回は主役を、周りはいい感じに責めていけたらいいなー、追い詰められたらいいなー、って。
津枝:いやほんと、すげーいじめたいっすね。すげーいじめたい。
浅見:見るところがすごくはっきりしているから、あ、この人がなんか出している、発しているっていうのに気づけたら、すごくおもしろいと思う。起きている状態というか。ウーロン茶熱い花子がいかにガタガタするか、というので、結果はすごい変わると思います。
岡本セキユ(以下、岡本):僕は、初演の『緑茶』を見たかったけど、見れなかったんです。でも、自分の周りで見ている人が結構いて、色々と感想を聞いていたので、期待していました。全く見ていないけど、なんか、そういう障害と胎児の話であることは知ってて、どういう雰囲気なのかなーって思ってて。
で、出演することになり、台本を読んだときの印象は、思ったよりももっと軽かったな、という感じでした。これから、結局どういう雰囲気になるかわかんないですけれど、軽いというか、やっていてまだ越さんがどういう感じにしたいのか、っていうのが、わかんない、部分がある、と。そこは、これからの稽古を楽しみにしています。ヤリナゲは軽い、みたいなイメージを周りの人から聞いていて、それは、とっつきやすいの意味での軽いだと思ってたんですけれど、 いや、それもあるんだけれど、それは演じていてとっつきやすいわけではなかったんだなぁ、って。 やってる僕側には、取っ手があまりない感じで。
浅見:うーん、取っ手はない、と思うけど、取っ手はいらないんじゃないか、と思うけどねー。
津枝:自分的には、この状態から、最優秀演出賞の越さん(編注:(劇)ヤリナゲ作演出の越寛生は、2015年の佐藤佐吉演劇賞の最優秀演出賞を受賞しました)が、どんな演出つけていくんだろうということが楽しみです。
四柳智惟(以下、四柳):僕は初演の『緑茶』を見ています。それまでなんとなく、苦手だったんですよ、越さんの事。大学生の時って先輩のことってなんとなく嫌いじゃないですか。でも、『緑茶』を見て、わぁ、この人はなんてすごい演劇をしているんだ、って衝撃を受けたんです。その後、ハイバイを見て、ちょっと安心したんですけれど(笑)。
ただ、僕はヤリナゲの演劇を大体全部見ていて、他のものを見ていても、もうちょっと『緑茶』みたいな方がいいな、って思うくらい『緑茶』が好きだったので、今回は初演の『緑茶』との違いをどうしても気になってしまうんだけれど、そんなに大きく変更された感覚はないです。ただ、久しぶりに台本を読んでみたら、ここ最近のヤリナゲとちょっと違う部分というか、初演時の粗さがあった部分に気づいて、今回はそれを丁寧に回収しているなぁ、と気づきました。
ーー今回の『緑茶』では、”母と子”にテーマを当てています。事前に皆さんにお願いしたのですが、みなさんの”母と子”のエピソードを教えてください。また、それにまつわる物も見せてください。
津枝:前出た舞台で女装したんですけど、そうしたら母親に似てたんですね。びっくりして。
上二枚が僕で、一番下の写真が母親です。
あと、僕の家は、親父とは離婚しているんだけれど、毎年会ってて、実はそっちと結構仲が良くて、毎年、実家の山口に帰って、親父と二人でフィリピンパブにいく、っていうのが恒例になっています。 毎年、フィリピンの女の人紹介されて、お前の母親になる人かもしれんぞ、っていう下りが毎回あります。
浅見:じゃあ、次は僕で。
これは、家族旅行で行った清水寺の写真です。このときのエピソードは、お母さんが歩くのだるくなっちゃって、他の家族は先に行って、自分はお母さんと二人でたらたら歩いていたんですね。お母さんがあまりにも遅かったから、人混みで撒いて、お母さんが俺を探している時に、遠くの人混みから「おかあさーん」って呼んで、お母さんがビビってきょろきょろする。っていうのを4、5回やりましたね。26とかの時です。
で、去年、「とみこのむすこ」っていうお母さんを題材にした一人芝居をやったんです。その時、お母さんのことを全然知らなかったから、取材しに帰ったんですね。そこでいろんなおもしろいことが分かって。
(取材ノートを取り出して話す浅見(右)の話を聞いている四柳(左)と岡本(中央))
実は母さんは九人兄弟で、おばあちゃんはお母さんが小学生のときに妊娠中毒症っていう病気で亡くなってたんです。10人目の子供がお腹にいたんだけど、医者に診てもらうお金がなくて治せなくて。 それで、家族どうしよう、ってなったんだけど、おじいちゃんは橋を造る仕事でほとんど家にいなかったから、一度浅見家の子供は全員養子に出されて解体されたらしいんです。 それで家族で一番見た目がよかったお母さんが小四で芸者になったんだけど、その二年後くらいに家族がまた集まって暮らし直した。んだけど、16歳でお母さん家出して、クラブで働いてた、とか。知らないこといっぱいありました。
それで取材の最後に、俺自身をどう思ってたか、を聞いたら、子供の頃はとても病弱だったから小学生まで生きると思わなかった、と言われた。それで、生きててくれてすごいいいよ、と言われました。小学校まで喘息持ちだったんですけど、中学でバスケ部入って、全部克服しました(笑)そして、役者になることについて聞いたら、「ここまで育ててきたのにそれかい!」って思ったらしいんだけど、好きに生きろ、って言われましたね。
岡本:僕はそんなに面白くないんですけれど…、大学芋です。母親がよく作ってくれたんです。
僕の家は、両親ともにスポーツ一家で、父が柔道でオリンピックとか目指してた、みたいな人で、大学で生涯スポーツ教えながら、柔道の研究をしているんです。母親も、陸上でインターハイ出場している人で。他の人もみんな、すごくて。
それで、僕は長男だったから、たくましい体と心でいろー、って、スポーツをやらされまくったんだけど、全然スポーツがダメ、というか大嫌いだったんですね。というか、そもそも挨拶が苦手でそこから全然向いてなくて、大学で東京に来て挨拶しないと生きていけないな、って思うまで、本当挨拶ができなかったんです。それで、母が見かねて、スポーツとかいいから、せめて友達と遊んでこい、って言うようになりまして。僕は、家で本読みたかったんですけれど。それで「遊んできたら、大学芋をあげるから」って言われて、無理やり外に遊びに行かされるというか。結構しんどかったですね。今日は怒られずにすんだ…みたいな感じでした。
四柳:僕も食べ物系なんですけれど、寿司です。あ、もちろん、これそのもの、ってわけじゃないんですけど・・・。
僕と母親の思い出、との話というわけじゃ厳密にはないんですけれど。うちの親はできちゃった結婚で、僕の兄…長男が生まれるときに、それこそ、「産むべきかうまざるべきか」みたいなことになったらしいんですよ。母は、24くらいのときに妊娠して、就職した途端、みたいな感じだったから、一人でずっと悩んでたらしいです。その時、親友に相談したら、妊娠していることを伝えた途端に「めでたい!寿司とろう!」って言われたそうなんです。それで、あ、めでたいことなんだ、って思えて、父にも伝えて、ちゃんと産むことに決めた。 寿司がなければ、兄は生まれてなかったし、自分も今の自分として居なかったんじゃないか、と。その友達がいたから生まれたんだから感謝しろよー、って両親に言われてました。
それで、まあ、今は、できちゃった結婚にしては夫婦仲もよいし、家族でバンド組んだりとかして、ケニア旅行とかもしてて、結構仲が良い方の家族です。
ーーありがとうございました。
男子会の後編をお届けしました。近日に女子会も開催予定です。
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