「206」日直日誌#5 「あおのさんと國吉さんに話を聞く。前編」
こんにちは。「206」日直の中村です。
(劇)ヤリナゲより重要なお知らせです。
1、(劇)ヤリナゲは、来年春に「佐藤佐吉ユース演劇祭」に参加します。「206」受付にて、「演劇祭」参加作品の先行受付を行います。通常料金よりも割安でお求めいただけます。
また、先行予約のお客様に限り「ヤリナゲ過去公演前書き集(仮)」を無料進呈します。「なんだかよくわからないがとりあえず長い」と評判の前書きが一冊にまとまります。
2、(劇)ヤリナゲは9月にミニ企画を実施します。こちらも「206」受付にて先行予約を実施します。206円でご予約いただけます。
ミニ企画の詳細は未定ですが、「(劇)ヤリナゲの3人で、何か戯曲を読む」(越談)ものになる予定です。
今後の(劇)ヤリナゲの活動をお得に見るためにも、ぜひぜひ「206」をご覧ください!
さて、今回は、「206」に出演する、あおのゆきかさん、國吉咲貴(くによし組)さんのお二人に、お話を伺いました。(劇)ヤリナゲの前回公演「スーサイド・イズ・ペインレス」(2015.3/25-3/29 於 王子小劇場)にも参加されているお二人です。
今回も、前後編になりました。前編は、お二人が関わった「スーサイド・イズ・ペインレス」について、また、くによし組を主宰している國吉咲貴さんに、くによし組と(劇)ヤリナゲとの違い、を伺いました。
(國吉咲貴さんです。小さくてとても可愛い方です。あおのゆきかさんの写真は後編にて。)
ーーお二人は前回の「スーサイド・イズ・ペインレス」(以下、「スーサイド」)から、(劇)ヤリナゲに関わっていますが、「スーサイド」のお話を少し聞かせてください。どのように関わることになったのでしょうか? また、その時の思い出など、教えてください。
國吉咲貴さん(以下、國吉):「スーサイド」では演出助手をしました。越さんとは、王子小劇場の演出家ワークショップ(注:演出家ワークショップについては、前回の浅見さん、永井さんインタビューでも、触れておりますので、ぜひご覧ください)で知り合って、その時も演出助手だったのですが、その際、越さんに意見交換ノートを返すのを忘れたんですよ。それを返すために、越さんと直接ガストで会って、ご飯を食べた時に、「スーサイド」の演出助手をやってくれませんかと言われて、演出助手をすることになりました。
私は演出助手で参加していたので、役者については分からないのですけれど、毎回息をさせるとか、自分に嘘をつかないようにさせるとか、初めて見る演出でした。
演出助手は大変でした。越さんってすごく言葉というか情報量が多くて、ぼそって言ったことがとても重要だったりするんです。それを全部書き留めるのが大変でした。
また、私も「くによし組」という団体の主宰をやっているからなのか、台本や稽古場のことを聞かれましたが、「越さんは越さんで確立してるからなんも言えることねーな」と思って、あんまり言えることがなくて大変でした。
あと、この時、越さんの演出を見ながら、「越さんにいつか演出されたいなー」と思っていたので、今回「206」で出演することになって、よかったです。
あおのゆきかさん(以下、あおの):「スーサイド」が初めてのヤリナゲへの参加でした。ヤリナゲのオーディションに参加して、それに受かって出演することになりました。キャスト11人全員と初共演だったし、王子小劇場の舞台も初めてだったし、全部初めてだらけで、大変でした。以前参加していたのは、知り合いに声をかけられたものが多くて、全く知らない団体に出演というのも初めてでした。
キャストとしては、越さんってすごく「見ている人」なんですよね。自分ではそういうつもりではなかったけれど、越さんに言われたら、確かにそういうとこあったかもとか、気づくことが何回かあって。無理をしていてもバレるし、嘘がつけないなぁ、と、そこに最初は戸惑いました。
國吉:あ、でも、あおのさんはヤリナゲ向きだと思うんですよ。
あおの:確かに、それはなんとなく自分でも思ってるというか、手応えを感じています。
私は頭で考えるのが苦手で、感覚人間なんですね。ヤリナゲに関わって、最初は戸惑ったけれど、「スーサイド」を通して、色々と外のことを考えなくていい、嘘つかなくていい、自分の中にあるものだけでやる状態が割と身構えなくてよくて、自分に合ってるのかもな、と思いました。苦しい状態があんまりないから、どんな状態でもやれる。無理に演技や展開に「持って行く」ことをしてもうまくいかないと思っているので、ヤリナゲでは無理に持っていかなくていいよ、と言われるので、そういうところが良いです。
ーー國吉さんは、「くによし組」という劇団を主宰されていますが、くによし組はどのような劇団ですか。また、國吉さんにとって、自分の団体とヤリナゲの違いはどのようなものですか?
國吉:ヤリナゲはリアル、というか、日常の中のものを切り取って、デフォルメしていると思うんです。共感が一番大事な気がするんですよね。今回の「206」も非現実ではあるんですけれど、あるある、と思うものが多い気がします。
それに対すると、くによし組の作品は「絶対にないよ」ってことをやっていて。私はコメディが好きで、笑えばいいんだよ、と思って作っています。
あおの:くによし組の芝居を私も何回か見ているんですけれど、設定的には「ありえないだろ」みたいなことが多いコメディなんだけど、自然と馴染む印象があります。突飛なコメディじゃなくて、沸いて出て、隣にいるみたいなコメディです。
國吉:ヤリナゲとくによし組というか、私と越さんの違いかもしれないのですが、越さんに「國吉はアイディアの人で、俺にはそれができない」ということを言われました。私の中では、ギャグは捨てるもの、ってイメージがあって、ギャグをいっぱい出して、一つでも笑えばいいかな、と思っているんです。ネタをいっぱい出す、みたいな感じで。
逆に、私からすると、ヤリナゲは繊細で、綿密で、私には出来ないことをしているな、と思います。
ーー國吉さんは、今回初めての出演となりますが、前回の演出助手のあとに、出演することになって、気づいたことなどはありますか。
國吉:スーサイドを見てて、自分でやってみて、見て学んでいたものが開花されていく感じがあります。なんといえばよいのか、やりやすいとはまた違うんですけれど、自分の中から自分が出てくる、という感じです。今までは、嘘の自分を演じるのが芝居だと思っていたのですが、自分をそのまま自分で出すのも芝居なんだな、って思いました。人生は舞台です。カーテンコールのために生きています。
後編に続きます!後編では、あおのさんの「スーサイド」からの変化・進化、そして、「206」の脚本についてお二人に伺いました。ぜひお読みください。