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「206」日直日誌#4 「浅見さんと永井さんに話を聞く。後編」

 こんにちは。「206」日直の中村です。

 浅見さん、永井さんのお二人のインタビュー、後編です。前編を読まれていない方はぜひ、前後編の順番で読んでください。

 今回は「206の稽古」のはなし、「三人姉妹について」のはなしなどを聞きました。

(写真は永井久喜さんです。)

ーー実際に、ヤリナゲの稽古をしてみて、気づいたことはありますか?

永井久喜さん(以下、永井):今までやりたかったことがやれているなと思いました。新鮮だったし、純粋に楽しい。

芝居がやりやすいというわけじゃないんですけれど、自分の嘘とか状態に敏感になるんです。稽古の前半に行うワークショプによって「自分が思っていないことを言えない」状態になるという、伝わりづらいと思うのですが本当に不思議な体験をしました。今までは、役者は「台詞を自分を言える状態に持っていくこと」が仕事だと思っていて。でも、ヤリナゲは状態を持っていくことに、違和感を感じる様になる稽古場です。

『スーサイド』を見たときに思った事は、役者その人に好感が持てるというか、とても魅力的に見えるなぁ、ということです。今思うと、私が経験した「自分が思っていないことを言えない」状態みたいなものが、役者が魅力的に見える理由なんじゃないかと思いますね。ヤリナゲがやっていることは、色んな人が理想として言う「役者がただその場にいる」状態の達成の一つの形なんじゃないかなぁ、と思います。 

浅見臣樹さん(以下、浅見):これまで僕はこういうことやってなかったんで、新しいことに挑戦しているな、と。

越くんが「無理だなあとか、言いたくないとか思ったら、台詞をしゃべらなくていい」と稽古で言うんですけれど、そうなると自分はしゃべらないんですよね。

これまで自分が経験したものに比べて、ヤリナゲは無理せず台詞をやっていく。でも、自分の感覚だと、喋りたくなかったら喋らなくていいとなると、物語にならない気がしていて、でも、最終的には、面白くするために、物語に持っていかなきゃいけない。その「物語に持っていく」のはどうしていくんだろうなぁ、と、楽しみにしています。  

今のところ、自分は「受けの芝居」が多くて、他人の物語に乗っかる立ち回りが多いんですよね。待つしかない。でも、主役らしいので、今後どうなるんだろうかなぁ、と。

ーー『206』は、チェーホフの『三人姉妹』を基にしています。『三人姉妹』に対する印象をお聞かせください。

浅見:『三人姉妹』は三回見た事あります。一回目は時間堂、二回目はアイサツ、三回目はTheatre Polyphonicによるものでした。三つ目のは結婚式場にて行われて、印象に残ってます。それぞれ中心に置かれている姉妹が異なっていて、時間堂のは三女、アイサツは長女、Theatre Polyphonicのは次女が主人公でした。

三人姉妹の中では、次女が好きで。次女だけ未来を見つめてるんですよ。長女は現実を生きている。三女は夢に生きている。次女だけ現実を見ながら、未来を見ている。自分の置かれた状況に対して、「なんなのこれは?」って考えている。それで、外から従軍してきた人に夢を見て、それは自分の旦那と何も変わらないことに絶望する。次女目線で見ると、『三人姉妹』の話はしっくり来るんですよね。

永井:私は、文学座のものと舞台芸術学院のものを見たことがあります。越さんもおっしゃっていたのですが、ユートピアを追い求めつづける姉妹の描写が、現代でも様々な状況に当てはまる普遍的な作品だと思います。

私自身がそうなのですが、実際のチェーホフの『三人姉妹』は登場人物がカタカナばっかりでわかりづらいし、観ていると眠くなってしまうという方も少なからずいるのではないかと思いますが(苦笑)、そのような方も『三人姉妹』を興味深く楽しめる取っ掛かりに、今回のヤリナゲ『206』がなれば嬉しいです。

チェーホフの描く人物だと『かもめ』のマーシャが好きです。

ーーそれでは、最後に「206」に向けて、意気込みをどうぞ。

浅見:あさきさんと仲良くなります。ヤリナゲを見たことない人に「面白い」となって欲しいです。

永井:浅見さんと仲良くなります。王子小劇場での出演も初めてなので楽しみです。

ーーありがとうございました。

この後、おいしいご飯を食べて、この日は解散しました。

「206」本番まで、あと1ヶ月弱です。チケットも販売開始しています。

次回は、206割に再び挑む予定です。ぜひお読みください。


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